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コンプライアンス最新事情

コンプライアンス・運用ガイドラインモニタリングを巡る最新事情

まずはじめに、フィデッサ本社バイサイド戦略部門ディレクターのロビン・ストロングが、バイサイドにおける最新のグローバル投資コンプライアンスのトレンドについてお話させていただきました。以下にその内容をお伝えいたします。

【運用会社が抱える課題】
まずは今日の運用会社(バイサイド)が抱えているいくつかの課題についてお話したいと思います。最も大きな課題は、「(市場の)多様化 (polarization)」であると私は考えています。「(市場の)多様化」、これがどういう意味かといいますと、市場は2つに分かれているということです。一方はとても積極的で、大規模で、比較的シンプルな運用。そしてもう一方は、市場でアルファを探し求めることが可能な特別な研究をしている一般的なアルファ探索者のことです。これにより、ポートフォリオはさらに複雑なものになりました。つまり、各種のデリバティブ(派生商品)やより複雑なファンド構造を利用するようになったということです。

2番目の課題は、規制です。規制要求事項は、強化され続けています。管轄規制当局は、運用会社が守らなければならない規制を総点検しています。また、外部の投資家(スポンサー)は、ポートフォリオの運用透明性を要求しています。過去には、おそらくトップ10の持分についてファンドマネージャーが四半期ごとに報告するくらいでよかったのでしょうが、今では、ポートフォリオ構造や、保有証券、またトレードしているマーケットやリスクについての最新の情報が要求されるようになってきました。

実際に運用コンサルタントは顧客へのアドバイス上、コンプライアンスとリスク管理に徐々に重きを置いてきており、香港の某お客様は、「投資コンプライアンス遵守を実証するテクノロジーなくしては、もはや顧客マンデートを増加させることはできない」とのアドバイスを運用コンサルタントから受けたと言っていました。つまり、運用会社にとって投資コンプライアンス(規制要求項目及び運用ガイドライン遵守)を強化することは、顧客マンデートを獲得するための 差別化要因となるということです。

【投資コンプライアンスの進化】
次に、コンプライアンスの進化についてお話したいと思います。「出発点」と私が呼んでいるのは、かなり前の初期状態のことです。自動的なコンプライアンス管理は全くありませんでした。コンプライアンスチェックは手動で、その都度エクセルにエクスポートして報告されていました。そして、1990年代後半、私どもの製品「センチネル」のような自動コンプライアンスシステムが誕生しました。センチネルは、所有しているすべてのポートフォリオを毎日取り出し、それらを各ファンドごとに決められたさまざまな制限値と比較しました。これにより、比較的早く問題を発見することができました。つまり、夜のうちに課題を発見し、翌日にはその課題を解決することができるのです。しかしながら、最初の段階で問題を防ぐには十分ではありませんでした。そこで2000年代初頭に執行前コンプライアンスの概念が登場しました。執行前コンプライアンスシステムは、ブリーチ(ルール抵触・違反)が起こることを防ぐため執行前注文をチェックし、と同時に、ワークフローのコンセプトを導入しました。ワークフローというのは、ある理由でリミットを越えた場合に、基本的に規則内の値に戻すことを認めます。例えば、損をしているのに全ての保有証券を今すぐに売るという必要はないのです。
ここ5年くらいの間によく見かけるようになったのは、第3世代のコンプライアンスです。複雑なデリバティブなどを含め全てのアセットクラスをサポートしており、その日の終わりの保有ポートフォリオの残高だけでなくカウンターパーティー・エクスポージャーのコンセプトを理解することができます。そしてまた、 コンプライアンス管理プロセスにおいて、例えばVaRといった分析のためのより複雑な制限やリスクを測定する手法を使い始めたのです。

【オーダー・ライフサイクル(コンプライアンスチェックの統合)】
コンプライアンスチェックは、オーダー・ライフサイクルの中の多数の箇所で実行されることがお分かりいただけるかと思います。図表1は、典型的なオーダー・ライフサイクルをとても簡略的に表したものですが、少なくとも6箇所でコンプライアンスチェックを行うことができます。そのため、ファンドマネージャーは、モデリングの一部として、ディールに送る前に自分の注文がコンプライアンス上問題ないことを確かめるために、コンプライアンスをチェックすることが可能です。このプロセスが意味するのは、ファンドマネージャーはしばしば、複数の注文を作ってまさに注文を送る際になって通常はコンプライアンスの再チェックを行います。当たり前ですが、カウンターパーティーが誰かを知るときになってはじめて、カウンターパーティーリスク制限をチェックすることができます。同様に、一度執行が戻ってきたら、執行された価格と量がわかり、そして再度チェックすることが可能となります。とりわけ、多分フルのアロケーションを得ることができないようなIPOの注文など、アロケーションを終えたら、ファンド間のアロケーションを変更します。そして、通常はコンプライアンスを再度チェックします。そして最後に、一番下のところですが、パッシブ・リサーチを検出するための全ファンドに対するすべてのルールのオーバーナイト・チェックになります。



【投資コンプライアンスが直面する課題】
昨今、ルールはとても複雑で洗練されています。昔は単純な制限でした。例えば、最大トータル5%のある1つの株式を持っているとしましょう。異なる持分のネッティングに関るルールがありまして、これによりとても複雑なことになっています。これはシステムで解決することがとても難しい問題です。デリバティブを利用している場合は特に難しいです。

2番目は、特に執行前の、システムのパフォーマンスです。注文数量やアロケーションの回数、各ファンドごとのルールの数によって、とても沢山のテストを実施しなければなりません。それらは、高パフォーマンスでなければならないのです。そして、私どもの執行前トレードが市場で一番早いということを確認するために、私どもの開発チームが一生懸命働いております。変化の激しいマーケットにおいて、コンプライアンス・チェックのために5分すら遅れることがで きません。高速トレーディングの戦略に勝っていくためには5秒ですらだめですし、2分の1秒だって遅れることは許されないのです。

3番目にデータ品質の問題があります。多くの企業は全世界から高品質のデータを集めてくることに奮闘しています。そして株式についてはそれなりに質の高いデータを持っていて、債権についはまずまず、そしてデリバティブについては質の悪いデータを持っている場合がよくあります。しかし当然のことながら、システムは入れるデータに依存するのです。もし質の悪いデータを入れたならば、システムがどんなにすばらしいものであろうとも、質の悪い結果が出てきます。これは、有効なデータを回収・管理する内部プロセスについてもいえることですし、信用格付けや外部データについてももちろん言えることです。

【デリバティブ(派生商品)】
デリバティブは非常に複雑です。バックグラウンドがキャッシュの方にとっては、とりわけ難しいと思います。例えばオプションは一般的には、エクスポージャーと、コントラクトのマーケットバリューというよりはむしろ名目エクスポージャーをディールしているデリバティブから分析されます。コンプライアンスの観点からは、それらは2つあるいはもっと多くの数のマルティプル・レッグを持っているかもしれませんが、そのレッグは別々に扱われなければなりません。当局は複雑な残高ネッティング・ルールを規定しているのです。ヨーロッパでは、使用はとてもプリスクリプティブ(規範的)で、様々なルールによってネッティングできるものとできないものが決められています。

デリバティブについてのもう1つの問題として、価格発見が挙げられます - コントラクトを所有している人が大変なのです。なぜならば、OTCデリバティブの市場価格が存在しないからです。シンプルな先物とオプションについては、市場から価格を得ることができるかもしれません。当然ながらデリバティブ、例えばスワップは交換、つまり原証券の発行元ではなく、スワップのカウンターパーティー・リスクに対するエクスポージャーです。そして、デリバティブには複雑なライフサイクルもあります。アサインメントやターミネーション、アンワインディングやリセットポイントなど、デリバティブ管理において大きな影響がある複数のイベントが発生します。コンプライアンスの観点から言えば、それらは特に管理するのが難しいです。バリッドであることをテストするためには、最新の情報が必要です。しかし、私たちが目の当たりにしているものは、運用会社がもっと定量的なリスクベースの手法に傾きつつある状況であり、本当にそれを実現するためにはテクノロジー・ソリューションが不可欠です。ものすごく小さな運用会社は別ですが、手動では本当に難しいでしょう。

【カウンターパーティー・エクスポージャー(取引相手先リスク)】
特にリーマンショック後は、カウンターパーティー・エクスポージャーが話題になっています。1つ起こったこととしては、ポートフォリオ内の保有証券だけでなく、カウンターパーティーもコンプライアンス管理に含まれるようになってことです。例えばあなたが債券を買う場合、あなたのクレジットリスクは、債券の発行元が支払うことができるかどうかということになります。しかし、カウンターパーティー・リスクをヘッジする場合はもはや発行元のクレジットリスクを気にする必要は全くなく、スワップのカウンターパーティーのクレジットリスクを気にするようになります。そして、それを測定するのは難しいので、テストのための追加的な情報が必要となるのです。保有証券の集積ではなく各トレードの情報が必要となります。なぜなら、異なるタイプのリスクをヘッジするために複数のスワップ・パーティーを持っているかもしれないからです。また、カウンターパーティーの情報も必要です。スワップのカウンターパーティーが誰かを把握するだけでなく、法人組織がどのヒエラルキーに居るか、グローバルな銀行の東京支店とスワップしたことがあるかどうか、それらのトレードが自分のトレード・パーティーの特別なデリバティブのカウンターパーティーに行ったかどうかについても把握しなければならないのです。ヨーロッパでは確かに、顧客がトレードする銘柄のうち幾つかが変化しました。過去にはOTC部門のスワップで残高をヘッジしていたかもしれませんが、今は先物など同じトレーディングコストで効率的に取引できる上場先物コントラクトを利用する傾向にあります。しかしトレードは中央で決済され、同じクリアリングハウスに行く他のトレードの担保とネットすることができます。そしてこれは本当に興味深いことですが、無理にでも市場でもっとスワップトレードを行わせようとした米国からやってきた潜在的な立法制度を読んで面白いと思った人とは違って、マーケットの力がこれらの変化を引き起こしたのです。

【今後の課題】
これまで顧客企業の組織構造の変容を見てまいりましたが、コンプライアンスとリスク管理は機能的に重なる部分があります。そしてますます法務との業務対象の重なりが出てきています。というのは、レギュレーションだけでなく様々なデリバティブのコントラクト事項まで法務的解釈が要求されており、それらは1人のビジネスオーナーによって一元管理されます。その管理者が恐らく「チーフ・リスク・オフィサー」となるのだと思います。複雑性はどんどん増大しており終わりがあるようには思えませんし、先ほどお話した通り、世界中の規制当局が規制を見直しております、つまりシステムリスクの防止を望んでいるのです。すべての規制当局は、管理を強化し、投資家を守りたいのです。それゆえ、ルールの対象範囲はより広がり、より頻繁に更新されることになります。日本企業によって管理されているものの住所や販売地がヨーロッパであるグローバルなファンドを持っている場合には特に、他の規制があなたのビジネスに影響するでしょう。 当然のことながら、それらはヨーロッパの規制に従わなければならないからです。しかしながら、顧客に対して私たちが目の当たりにしていることは、運用会社は新しいビジネスを獲得したり売上を伸ばすための差別化要因としてコンプライアンスを使い始めてきており、コストが掛かるだけのもの、あるいは、ただ単に何かやらなければならないものと考えなくなってきているということです。運用会社にとって、自動コンプライアンスのコンセプトを顧客に説明することができることが義務になってきています。まさにだからこそ、今私がここでこのプレゼンテーションをしている理由なのです。最後にこれが、世界の10大運用会社のうち9社にご利用いただいている弊社の「センチネル」というバイサイド向けコンプライアンス管理システムです。私のプレゼンは以上で終わりたいと思いますが、製品やこのプレゼンについてご質問やご感想がございましたらいつでもお問合せください。ご清聴ありがとうございました。